2018/06/15 21:09


ムスタファ。わたし達はこの名前を一生忘れない。彼はきっとわたし達の事は忘れただろう。むしろ、最初から興味すらなかったよね。


モロッコは本当にギリギリまで悩んで やっぱり行こう!となった。初のアフリカ大陸上陸にワクワクし マラケシュに到着した。すでに夕方で リヤド(ホテル)までタクシーで向かう事にした。マラケシュの街は迷路のようだと 事前情報で聞いていた為タクシーに完全に頼っていた。運転手にここから真っ直ぐ歩けばリヤドに着くと言われ 降ろされた。特に疑いもなく 言われた方向に歩いていったのが間違えだった。言われた方向に向かったが目的地ではない。あれ?間違えたかな、戻ろうと引き返そうとした時、グッドタイミングで子供たちに出会った。やや怪しいが 子供たちは無邪気にわたし達を案内する。疑いながらも 付いていくとリヤドに到着し 子供たちがドアをノックしてくれた。扉が開き ありがとうと言うと ハイ、お金ちょうだい。まぁ、そりゃ案内してくれたしと渡そうと思ったがデカイ札しかない。着いたばかりで細かい札を持っていなかった為 チップにしては高額な金額を払った。でも、仕方ない。それをずっと冷ややかな目で見ていた男がリヤドのスタッフ、ムスタファだった。ウェルカムオーラも愛想もない彼はモロッコの阿部寛という感じだった。


感じ悪いなぁと思いつつまぁ、お腹も空いたしご飯行こうとなった。さっきタクシーを降りた場所を通過しようとしたら 先程案内してくれた子供たちとタクシーの運転手が何やらやっていた。そう、彼らはグルで間違えた道を教え子供たちが案内してお金をもらうという手段で 騙してきたのだ。おぃぃいいー!となったが 子供たちはわたし達を見て薄ら笑いしていた。

この瞬間、2度と騙されるもんかと誓った。


マラケシュの街は確かに迷路のようで地図すら意味をなさなかったし、街にある看板も全くあてにならなかった。あれ?どこ?と歩いてると変なとこに出てしまったり 何回も行ける場所や一回しか行けなかった場所もあった。絵本の世界に行ってしまったような感覚になった。まぁ、そんな中あれだけ誓ったのにまた騙された。もう、怒り頂点。追い討ちをかけるように モロッコの阿部寛ことムスタファにキレられ、書いたメモは目の前で捨てられた。締め出しもくらって わたし達はリヤドの扉を叩きまくり蹴りまくり その音に近所の子供が様子を見に来たぐらいだった。涼しい顔をして戻って来た彼に怒り爆破(3時間以上外に放置されました) わたしは アラビア語で相手をイラっとさせる単語を調べ始めたが tamaにやめとけと止められた。

ムスタファァアァアーー!きっと 忘れない!一生!


とまぁ、沢山イラっとしたマラケシュだったが異国の地に来たという感覚は今までの買い付けの中では1番あった場所だったかもしれない。

聞こえてくる音も 肌で感じた気候も 街を歩いていく人々も そこにある全てが非日常で物語のようだった。大きな迷路に導かれて歩いて可愛い物に偶々出会ってと 普段の買い付けでは味わえない体験をしたと思う。

甘ったるいミントティーを飲めば その時の景色が目に浮かびそう。

それがチェルプが旅したモロッコ、マラケシュ。  



余談だが、レストランの食べ物がタジン、パン、パスタしかなかった為、禁じ手の屋台で食べたイカのフライやナスのペーストが死ぬほど美味しかった。その屋台をお教えしたいが、すっかり忘れてしまった。それほど無我夢中で食べたという事である。